恋は盲目



――カランカラン




喫茶店のドアがあくとこちらに彼が歩いてくるのがみえた。




「わりぃ。」



一時間以上も遅れてきた彼。


「会いたい」といったのは彼なのに……



何をしてたかなんて分かり切ってるけど。



微かにただよう女の香水の香り。



また女と会ってたんだ―…



私だけじゃないってわかっているのに、嫌だと思う矛盾した気持ちにイライラが増す。



「またほかの女のとこ?」



「はあ?」


不機嫌な声。


当たり前だ。ただのセフレにこんなことを聞かれて。



「また抱いてきたの?」


でもやめられなかった。たまっていた私の黒い気持ちが溢れてきた。



「関係なくね?ってか彼女気取り?うぜぇ。」



「会いたいって言ったのはそっちでしょ?なのに一時間以上も待たせて、他の女と会ってたの?」



「あ゙?わざわざ来てやったのに何その態度。まじムカつくわ。ってか遊ぶ気冷めた。俺帰るわ。」




「ちょっ、まだ話してるんだけど。」



「まじうぜぇ。」



それだけ言うと携帯を片手に出て行った。



「……あっ薫?今からあわね?……――」


他の女を誘う彼の声を残して。




無意識に涙が流れた。





もう………



嫌だよ……………







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