恋は盲目
我慢できずに涙が次々に溢れる。
「…っ……ぅ………」
もう……帰らなきゃ。
このままいても涙が止まらない。
そう思った時
…―カタン
前の席に誰かが座る。
えっ?
驚いて顔を上げる。
「お前あんなヤツの為に泣いてんの?」
胸に響く落ち着いたテノールボイス。
「…え?」
いきなりそんなことを言われるなんて思ってなかった私は、涙がとまり、ただその相手を見ていた。
落ち着いた雰囲気で30歳くらい?スーツをきて、イケメンと言われそうな顔立ち。
コンタクトなのかわからないがグレーの目をしていて彼の冷たい印象を強調している。
近寄りがたい―…というよりは、この目をみると逃げられないと思ってしまう。
「都合のいい女とかバカじゃねぇの?」
冷たく言い放つ。
「…なっ?!」
何も知らない人に…って、今初めて会った人に何でそんなこと言われなきゃなんないの?!
何こいつ?!
「お前さ〜相手にされてねぇ〜じゃん。セフレなのに。しかも何泣いてんの?」
「は?関係ないでしょ。あんたに何がわかんのよ。」
ムカついて冷たく言い放つ。
「わかるわけねぇーし、別にわかりたくもねぇよ。まっ関係ないしね。ただ…同意で都合のいい女やってるあんたがバカみたいに泣いてるから変なヤツだなってかけただけ。」
「悪かったわね。変なヤツで。」
本当に失礼な奴。