恋は盲目
彼が来たのは待ち合わせから2時間半も過ぎた九時半だった―――……
「まだいたんだな。」
待たせておいてそれはないんじゃ……と思いながらも冷静に対応する。
「あなたが来いといったので待っていました。」
「フッ。ホントにバカな女だな。」
そういって前に座った彼から女物の香水の香りがした。
その瞬間賢くんとの過去が頭によぎった。
同じだ………あの時と。
嫉妬した気持ちも悲しい気持ちも、イライラしている自分も…
全てあの時の私と重なる。
だめだ……
やっぱりこんなの良くない。
相手にされてないのに、こうやってバカみたいに待って、会えることに浮かれて……
好きだから傍にいたい……?
違う。
好きだから………離れなきゃ。
これ以上惨めな気持ちになりたくない。