恋は盲目
もうわけわかんない。
そう思いパスタを口にする。
と、何やら視線を感じて見ると彼と目が合った。
ドキン。
やばい。目が合っただけなのに、そのグレーの瞳に吸い込まれそう。
慌てて目をそらしながら冷静に口を開く。
「何ですか?」
「口に合わなかったか?」
「…は?」
「いや。難しい顔して食べてたから。」
まずい。顔にでてたか。
「いえ。美味しいですよ、とっても。」
味は申し分ない。
「そうか。」
「ただ…どうして私は連れてこられたのか考えてたんです。」
本当にわからない。
彼はどうして、こんな興味があるとは思えないヤツを夕食に誘ったのか。
まだ都合のいい女の名残か。
はたまた本当にただの気まぐれか。
「……わからない。」
「……は?」
何かしら答えが返ってくるだろうと思っていたが、
私の予想を遥かに越えた答えに呆気にとられた。