恋は盲目
外に出て彼を探す――…
いない。
やっぱり見間違いだったんだよね?
ただトイレに行っただけだよね?
そもそも私なんて誘う意味ないもんね。
はぁ…
勘違いしてバカみたい。
しばらくして有り得ないことに気付いた私は冷静になってみんなのもとに戻ろうと振り返った―…
と……いきなり腕を引かれて人目につかない壁の死角の隙間にいた。
え???
目の前は真っ暗だし……
なんで?
抱き締められてる―!?
テンパってる私の上から私の大好きな彼の声が聞こえた。
「…――よかった〜〜来てくれないかと思った〜〜」
え?
そういった彼はまたギュッて力を入れて抱き締める。
抱き締めてくれているのは紛れもなく私の大好きな彼で
初めて男の人に抱き締められた私だけど……なんだか安心する。
ほのかに香る彼の香水も低すぎず高すぎずの彼の声……抱き締める力強い腕……
全てが暖かくて、離れたくないと願ってしまった。
無意識に私も彼の腰に手を回して抱きついてしまっていた。