愛へ
「プレイガールなんだよね」
帰り道、藤堂誠はしつこく聞いてきた。
そうだ、あたしはプレイガール。
誘ってきたら、誰とだって寝る。
ただ、藤堂誠とは、そういう簡単な関係にならないような気がしてきた。
チャラい女は嫌いだと言っていたんだから、きっと藤堂誠自身はチャラくないんだろう。
見た目とは、裏腹に。
あたしは見た目とは裏腹に頭がいいっていうのがコンプレックスだけど、藤堂誠は、見た目通りにチャラ男に見えるのがコンプレックスだったりするのだろうか。
ほんとうは、チャラ男じゃないのだろうか。
あたしは、見た目はチャラいのに、実際頭が良いから、困ることがたくさんある。
中学のときに仲が良かった連中は全員中卒でバイトだとか、レベルの低い私立に行ったりだとか、通信制に通ったりだとか、とにかくあたしとは違う生活を送っている。
あたしだって、中卒でバイトでもして遊びまくりたかったっていうのに、下手に頭が良かったもんだから、こんなレベルの高い高校で浮きまくる羽目になった。
あたしだって、好きに暮らしてみたい。
自由に、自分のしたいことだけをして、生きてみたい。
そんなことができるはずがないことくらい分かっていたけど、あたしは、ほんとうにそう思っていた。
藤堂誠は、あたしの右隣を、ゆっくりと歩いている。