愛へ
明るく染められた茶髪は、ワックスできれいに立てられていて、目鼻立ちも整っていて、背も高い。

なのに、あたしはコイツと付き合いたくない。

カッコイイ部類に入るのに、コイツとセックスをしようとは微塵も思わない。


「じゃあ、一緒に帰ろう」

「は?」

「付き合ってるんだから、一緒に帰るだろ、普通」

藤堂誠はそう言って、あたしの手をとった。

セックスをしたことはあっても、手を握られたことは今までになかったから、つい、心臓が悪鳴った。

学校で手を繋がれるなんて恥ずかしいことをされたのは初めてで、あたしはその手をつい振り払ってしまった。
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