HAPPY!!
バスの中(隣の席)で寝る木内に、そっとジャンパーを掛けてあげた。


「まったく、自分のパーカーを枕にするんじゃねぇよ・・・・、バカ。」


もたれかかって寝ている木内に、私はそっと微笑んだ。


「ふぁー、よく寝た・・・・。アレ?このジャンパー誰の・・・・。ああ・・・・・。」


木内はふと目が覚めたとき、隣で寝息を立てているあたしに気付いた。


「すぴー・・・・。」

「バカ・・・・・。」


ニコッと微笑むと、木内は私にジャンパーを掛けなおした。


「オレに掛ける前に、自分に掛けろよ。風邪ひくだろ。」

「すー・・・・。」

「子どもっぽい顔。かわい・・。」
 

目が覚めると、なぜか木内にかけたはずのジャンパーが掛かっていた。


「おはよー・・・・。あれ、このジャンパー、木内に掛けてたよね?」

「ああ、ありがとな。助かったぜ。」



素直に木内がお礼を言ってくれたので、あたしもありがとう、と言っておいた。


「ああ、そっか。木内があたしに掛けてくれたんだね。」

「ああ。お前の寝顔見てたらさ、無性に掛けなおしてあげたくなって。」


寝顔!?そんな恥ずかしいものを!!


「ええ!?寝顔なんてそんな!」

「かわいかったよ。」


しかも、かわいいだなんてお世辞でも木内に言われると嬉しい。


「はぁっ!?ど、どんな顔だった?!」

「んーとな、小さい子どもの寝顔みたいでかわいかった。」


失礼な、たしかにあたしは童顔だけれども。


「そういう木内の寝顔だって、ガキの寝顔みたい。」

「見たのかよ!」

「おあいこだろ!」


あたしがそういうと、顔を見合わせて笑った。

なんだか、バカップルみたいだな、とこっそり思った。




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