HAPPY!!

バレンタインデー


バレンタインも近付き、インフルエンザにかかった木内はここ一週間ぐらい学校を休んでいる。


「あーあー、何であいつ休んでんだよ。つまんねー」

「どーしたの、M」


ともっちょがあたしの背後からひょっこり顔を出す。


「えー、今日木内いなくて、静かだなーと思って」

「あー、それはねー。思う」


クラスのムードメーカーの木内がいないのは凄く寂しい。


「でしょー。でもね、それ以外にもちょっと寂しいトコがあったりする」


何で寂しいのかは分からないけど、無性に寂しかった。


「Mって、木内の事好きなんじゃないの?」

「え!?」


びっくりして声が大きくなる。


「だって、M木内と喋ってる時、すごく楽しそうだよ。今日だって木内がいないだけでそんなに寂しいんでしょ」

「そりゃー、確かに寂しいけど、好きとか、そういうのじゃなくて」


友達として、すきというか。


「好きなんでしょ?」

「そうかな」

「そうだって」


ともっちょがそこまで言うならそうかもしれない。


「でも、どうしろって」

「Mの得意技、ノート写しがあるじゃん」

「ほへっ?」

「だから、木内が休んでる間のノート取ってあげればいいんだよ」


確かにノートだけは誰よりも綺麗にとれる自信がある。


「ちょっとタイミング悪いけど、木内が復活する日が、バレンタインデーの2日後じゃん一緒にチョコレート渡しなよ!アイツ、チョコレート欲しいって言ってたよ。しかも、大好きだって。クッキーも好きだって」

「何で知ってるの?そんなこと」

「この間Mのために聞いておいた」


けろりとした表情でともっちょが言う。


「てゆか、その時からあたしが木内の事好きだって気が付いてたの?」

「うん。もちろん」

「あたしでさえ気が付いていなかった事に、よくも気が付いたもんだね」

「親友の事くらいしっかり覚えとくわよ」

「ありがとう」


ともっちょは優しいね。

あたしのこともわかってるし。

さすが親友だね
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