HAPPY!!

「あたし、チョコ刻むの、得意なんだ!」


包丁を片手に板チョコをトランプのカードのように広げて言うと、麻美は白い目で見てきた。


「じゃああたしは、自分のブラウニー作ってるから」


シカトが一番胸に響くわ・・・!


「オッケー」


もくもくと作業は進み、チョコ作りが終了した。


「やっとできたー!味見しちゃお!」


できあがったトリュフチョコの中からどれがおいしいかな、と迷っていると、


「余ったのにしなさいよ、足りなくなったら困るでしょ」


あやうく出来栄えのいいのを食べるところだった、ありがとう麻美。


「はーい!」


ぱくっ。

一口で放り込むと、舌の上で溶け、甘い味が一面に広がる。


「おいしー!!」

「良かったね。コレで木内もイチコロだな」


イチコロっといってくれれば誰もバレンタインに苦い思いをすることなんかないんだろうけどね。


「麻美は好きな人いないの?」

「いるわけないでしょ、バカ!」


なぜか麻美に殴られ、ああ、こいつはやっぱり暴力的だ、と思った。


「いった、殴る事ないじゃん」

「うるさい」

「ところでさー、ラッピングって、どうしたらいいの?」


やっぱり、ハート柄が一面にあるようなラブリーなのが良いのだろうか。

それとも恥ずかしいからいかにも義理ですよオーラを出すべきなのだろうか。


「は?さっき買ったでしょ?」

「あ、そうだね。忘れてた」


そういえばさっき、木内が好きな青色のラッピングを用意したんだった。


「バカだねー、お前はさー」

「麻美より成績いいだろー!?」


自慢じゃないがあたしはクラスで一番頭がいい。


「うっさい!!」


もう一度殴られる。

やっぱり麻美は暴力的だ!
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