HAPPY!!
「最近な、100メートルも走るの大変だから、ベルトコンベアーみたいなの取り付けたんだ。」


木内は完全にワックスの二度塗りを放棄し、窓際に腰掛けている。
完全に、あたししか仕事をしていない。


「ああ、あれね。便利だよね。でもその前に屋根つけろよ。」


そう突っ込むと、木内は華麗にスルーして、


「でもな、通り越しちゃうと大変だぜ。」


諦めたあたしは、


「そりゃ大変だ。」


とだけ適当に相槌を打っておいた。


「何てったって、漏れそうなのに、さらに100メートル回るんだぞ。漏れちゃう。」

「シモネタ~!」


あたしは、あんまりシモネタが好きではない。

だけど、木内が言ったシモネタなら別だ。

好きな人の言ったことは何でも良く聞こえてしまうのは、惚れた弱みだろうか。


「だから何だってんだ。」

「木内って、意外とシモネタ言うんだね。」


だって、あたしの中で木内は紳士的ポジションなんだもの。


「は?意外?」

「え?シモネタ好きなの?」


あたしがそう問うと、木内は、


「好きってわけじゃないけど、言うよ。」


と答えたので、あたしはふうん、と頷き、


「男は狼なのね!気をつけなきゃ」

「はは、襲うぞこら」
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