HAPPY!!
引っ越し
「木内、今日一緒に帰ろ。」
帰る方向は真逆でも、一緒に帰るのがお互いの日課。
「ああ、いいよ。」
「どうしたの?お疲れ気味だね。」
目の下にくまが出来ている木内に向かってそう言うと、
「オレ、引っ越すからさ」
と衝撃の一言を発した。
あたしは一瞬あたまがフリーズしたように思った。
「引っ越す?」
「ああ」
うそだ、そんなの信じない。
せっかく付き合えることになったのに、お別れなんて信じない。
「嘘でしょ?!どこに?」
「中央図書館の近く」
市内からは出ないというのは不幸中の幸いなのだろうか。
「学区域違うじゃん」
もう、学校で話したりはできないってこと?
「お前に言うの遅くなっちゃって、ごめんな」
「バカッ!!木内のバカ!」
「何だよそれ」
あたしは、泣きながら教室を走り去った。