HAPPY!!
「ってことで、リハーサル済んだら、俺らギャラリーと下駄箱掃除だってさ」
「何でそんなに嬉しそうなの?!私居残り掃除なんて絶対嫌だったのに!!」
なぜか二人で雑巾片手に下駄箱へ向かう。
「まぁまぁ、いいじゃないっすか。どっちにしろ、リハーサルは最後まで残る羽目になるわけですし」
たしかにあたしは伴奏者で木内は指揮者だからどの道残る羽目になるんだけど。
「そりゃまぁ、指揮者と伴奏者ですから?しょうがないですけど、って、納得いかね~!!」
「まぁまぁ、落ち着きたまえ」
暴れるあたしは木内に取り押さえられた。
「あ、何か私ら呼ばれてるっぽいよ、自席に着けだって!」
「おし、じゃあこの雑巾は後で洗う事にしよう」
木内がそう言うので、きたないだろ、とあたしがつっこむ。
「きたねっ」
「じゃ、洗ってきてよ」
「嫌だよ、弾かないとはいえ、ピアノに触るのに、冷たい手じゃ嫌だし、雑巾くさいじゃん」
汚いし雑巾ってくさいよね。
「だろ?ってことでこれ、どこ置く?」
「あたしに貸してみ、ギャラリーの手すりに引っ掛けてあげる」
「そんなことできるのかよ?」
「やってみなくちゃわからないでしょ。そ~れっ!!」
ひゅっと投げると、みごとに引っかかった。
「どうだ、見たか!?」
「お見事」
あたしはコントロールだけには自信があるのだ~!