ф檻のなかのお姫様ф
俺はなにもできなくて
「大丈夫だから、」
そう言って頭を撫でるような
幼稚園児でもできるようなことしか
できなくて。
それでも縋るように俺のTシャツを握り締めながら
ないてる萌花が
すごくすごく可愛くて。
俺はいっそう抱きしめる腕に力を入れた。
「チッ」
熊谷涼は舌打ちして
出てった。
追いかけて思いっきり殴りたかったけど
萌花の目の前でそんなことしたら
また怖がると思ったから…
今度、見てないとこでやることにしてやる。