ф檻のなかのお姫様ф




俺はなにもできなくて





「大丈夫だから、」




そう言って頭を撫でるような






幼稚園児でもできるようなことしか
できなくて。





それでも縋るように俺のTシャツを握り締めながら

ないてる萌花が




すごくすごく可愛くて。





俺はいっそう抱きしめる腕に力を入れた。










「チッ」



熊谷涼は舌打ちして


出てった。




追いかけて思いっきり殴りたかったけど



萌花の目の前でそんなことしたら



また怖がると思ったから…




今度、見てないとこでやることにしてやる。




< 71 / 82 >

この作品をシェア

pagetop