X's Supremacy
4 Flamer
翌朝、荷物をまとめて午前中歩き通すと、森の終わりに近づいてきた。
見る先は農村のようだ。
牛がいたり、ヤギがいたり。
昔なつかしの砂利道を歩いていると、目の前から美女が走ってくる。
思わず見とれていると、案の定……
―― ドンッ…!
「…いってぇ…」
「痛ぁっ!!!
あんたどこ見てんのよ?!
急いでるの見りゃわかるでしょ?!
さっさと避けなさいよ、グズ!!!」
「…す、すみません…。」
至極下品な捨て台詞を言うや否や、美女はさっさと駆け出していった。
(性格悪ぃ~…。)
俺はむくれた顔でまた歩き出す。
綺麗なひとだったな…。
腰までとどきそうな、サラサラした漆黒の髪。
気の強そうな、きりっとした目。
背が高くすらっとしていて、思わず見とれてしまった。
でも、…
「性格悪すぎだしっ!!!」
大声で叫び、芽生えそうだった恋心を一瞬にして打ち消した。