X's Supremacy
何がおかしいんだ、と思いながら、嬉しそうにニコニコするじーさんの顔を見ていた。
俺が何も言わないのを見てとると、じーさんは話し出した。
「ここは何だと思うかね?」
見れば、壁にはびっしり時計が掛かっている。
いろんな国で作られたような雰囲気があり、デザインも一つとして同じものはない。
年季のはいった古くさいものもあればシンプルなものもあり、たいていは恐ろしく凝ったものばかりだ。
「…時計屋だろ、どう見ても。」
「その通り。
じゃが別の場所でもある…。
ここは、異世界と現世を結ぶ大きな駅のようなものじゃ。」
………意味わかんねー。
いきなり何言い出すんだ、このじーさん…
ボケてるのか?
「おぬしは、選ばれし勇者の一人じゃ。
如何なる者も運命には逆らえん。
もうそろそろ時間じゃ。
おぬしがここに来ることは、前々からわかっておった。500年以上も前からのう。
ささ、準備するのじゃ。」
じーさんは意味不明な話をして、古びた棚からあれこれと取り出している。
俺が、選ばれし…何だって?
500年も前からって、こいつ今何歳だよ。
…もしかして俺、夢みてるのかも。
そう思ってすぐに頬をつねると、何故か痛みをかんじた。
「……現実っ?!」