恋時雨~恋、ときどき、涙~
重なり合う灰色の雲の隙間から、こぼれるように、淡い光が降り注ぐ。
彼の腕の中は、ひだまりだった。
光の中降る雨が、キラキラ、輝いている。
彼が、わたしの肩に顔を埋める。
わたしは、彼の肩に顔をもたせる。
大好きな彼の肩越しに、小さな花を見つけた。
歩道の片隅にぽつりと咲いている、一輪のノースポール。
小さくて真っ白な花が、やわらかな雨に、そっと、揺れている。
【End】