恋時雨~恋、ときどき、涙~
わたしは、溜め息を落とした。
今度は、まるで捨てられた子犬のようなうるうるした目で、お父さんはわたしを見つめていた。
どぎまぎしている健ちゃんに、お母さんが言った。
「気にしないで。子離れできない人だから。順也くん以外の男の子が家に来るのは、初めてだから」
お母さんが、恥ずかしそうに顔を赤くした。
健ちゃんは八重歯を見せて笑っていた。
「真央を、よろしくお願いしますね。何かあったら、電話下さい」
お母さんは、自宅と携帯の番号を書いた紙切れを、健ちゃんに渡した。
車に乗ると、健ちゃんがにこにこしながら肩を叩いてきた。
「真央の母ちゃん、美人だんけ。でも、父ちゃんはおっかねんけ」
わたしは笑った。
わたしは、お父さんとお母さんが大好きだ。
動物園は混んでいた。
駐車場は満車で、でも、なんとか駐車場の隅に停めることができた。
車を降りる時、後部座席に手を伸ばしてカゴバッグを取ろうとしていると、健ちゃんに肩を叩かれた。
「それ、何? 持ってくの?」
今度は、まるで捨てられた子犬のようなうるうるした目で、お父さんはわたしを見つめていた。
どぎまぎしている健ちゃんに、お母さんが言った。
「気にしないで。子離れできない人だから。順也くん以外の男の子が家に来るのは、初めてだから」
お母さんが、恥ずかしそうに顔を赤くした。
健ちゃんは八重歯を見せて笑っていた。
「真央を、よろしくお願いしますね。何かあったら、電話下さい」
お母さんは、自宅と携帯の番号を書いた紙切れを、健ちゃんに渡した。
車に乗ると、健ちゃんがにこにこしながら肩を叩いてきた。
「真央の母ちゃん、美人だんけ。でも、父ちゃんはおっかねんけ」
わたしは笑った。
わたしは、お父さんとお母さんが大好きだ。
動物園は混んでいた。
駐車場は満車で、でも、なんとか駐車場の隅に停めることができた。
車を降りる時、後部座席に手を伸ばしてカゴバッグを取ろうとしていると、健ちゃんに肩を叩かれた。
「それ、何? 持ってくの?」