恋時雨~恋、ときどき、涙~
1章:夏時雨
ライオン丸
空の色が特別きれいで気が滅入った。
赤く熟れた真夏の果実が、日本海と空を、暖かな薄紅色に染めている。
朱色を、濃厚なコンデンスミルクで溶いたような空色だ。
穏やかに凪いだ海原に西陽がとろけて、繊細にプリズムしている。
国道7号線の海岸沿いを加速する白い軽自動車に、わたしは乗っている。
早く。
願わくば、今。
このきれいな茜色の空から、雨粒が落ちてこないだろうか。
できることなら、落雷付きのとびっきり激しい大雨が欲しい。
右隣にある横顔はデンファレの花びらのように瑞々しく艶やかなのに、塩害で枯れかけた雑草のように、わたしはしおれている。
助手席に項垂れて、ふて腐れてばかりいた。
熱のこもったシートに身体を深く沈ませ、唇を尖らせる。
長い蛇のようなしつこい溜め息を吐き、横目で運転席の様子を伺った。
赤く熟れた真夏の果実が、日本海と空を、暖かな薄紅色に染めている。
朱色を、濃厚なコンデンスミルクで溶いたような空色だ。
穏やかに凪いだ海原に西陽がとろけて、繊細にプリズムしている。
国道7号線の海岸沿いを加速する白い軽自動車に、わたしは乗っている。
早く。
願わくば、今。
このきれいな茜色の空から、雨粒が落ちてこないだろうか。
できることなら、落雷付きのとびっきり激しい大雨が欲しい。
右隣にある横顔はデンファレの花びらのように瑞々しく艶やかなのに、塩害で枯れかけた雑草のように、わたしはしおれている。
助手席に項垂れて、ふて腐れてばかりいた。
熱のこもったシートに身体を深く沈ませ、唇を尖らせる。
長い蛇のようなしつこい溜め息を吐き、横目で運転席の様子を伺った。