恋時雨～恋、ときどき、涙～

晩秋時雨

幸せな毎日が、ゆったり、のんびり足で過ぎて行った。


秋晴れの日が続き、空が低くなった。


突風のような秋風がやむと、決まって雨降りが続いた。


しぶとい雨は、時折、涙雨のように優しい日もあった。


順也とは以前にも増してたくさん話すようになって、少し、バスケットボールに詳しくなった。


この冬、順也は初めて試合に出ることになった。


健ちゃんは社会人なので、週末くらいしかまともに会えなかったけれど、毎週末、会っていた。


小さなケンカをしたり、へたくそな手話で言い合いになったりもしたけれど、いつも健ちゃんが折れてくれて、すぐに仲直りできた。


わたしは、健ちゃんのことがもっともっと大好きになっていった。


もう、彼なしでは生きて行けないかもしれない。


生意気にも、そう気付き始めていた。


学校では幸と菜摘がいつも一緒に居てくれて、ぎこちない手話と、分かりやすくまとめてくれたルーズリーフで勉強に付き合ってくれた。


１１月も半ばにさしかかろうとしていた、曇り空の日だ。


今日も平和に、１日が終わると思っていた。


だけど、突然、思いがけないことが起こった。



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