恋時雨~恋、ときどき、涙~
淡いピンク色のビロードのようなグラスに、琥珀色のアイスティーを入れて、勉強をするのがわたしのスタイルだ。


臨床栄養学の教科書と問題集を広げ、キャンパスノートを広げ、シャープペンシルを走らせる。


ひと息入れようとアイスティーを飲んだ時、天井のランプがくるくる回って点滅した。


耳が聴こえなくてもこのランプが点滅すると、誰かが部屋に入ってきた事が分かる仕組みになっている。


お父さんは仕事で朝早くに出掛けたし、と、なると、お母さんだ。


そう思って、振り向いた。


でも、違った。


そこに立っていたのは、静奈だった。


静奈は白いシフォン生地のワンピースを着ていて、切羽詰まったような顔をしている。


少し、興奮しているようだった。


わたしは、右手の人差指を左右に2回振って、首を傾げた。


〈どうしたの?〉




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