恋時雨~恋、ときどき、涙~
本当に、何も分かっていなかった。


この先なにがあっても、おれを信じて、と健ちゃんが言った意味を、いちばん分かっていなかった。


優しい月明かりに照らされながら、わたしは次第に深い眠りに落ちていった。


しっかりと小指を結んだまま。


けれど、やっぱり、何も分かっていなかったのは、わたしだった。



まさか、この約束を、自らこの手でほどくことになるなんて。


……そんな日がくるなんて。


想像すらつかなかった。










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