恋時雨~恋、ときどき、涙~
もうこんな時期か。
1ヶ月は早い。
3通めの封書を手にして、わたしは固まりつつ首を傾げた。
なんだろう、これ。
封書を、何度も何度も裏返したり表にしたりした。
太陽にかざしてみたりもした。
でも、宛名も無ければ何も一文字だって書かれていない。
薄いピンク色の封書だ。
郵便の印鑑も押されていない。
誰かが直接このポストに入れたのだろうか。
そうだとすれば、誰なのだろう。
そう思って封書を開けようとして、でも、やめた。
もしかしたら、部屋の番号を間違えていたとしたら、と思ったからだ。
わたしか、健ちゃん宛ではなく、このアパートに住む他の住人宛だったら。
どうしよう。
迷い、困っていると、不意に肩を叩かれた。
振り向くと、アパートの大家さんが竹箒を片手に立っていた。
大家さんは80歳を超えるおじいさんで、少し腰が曲がっていて、白髪頭で眼鏡をかけている。
「あんた、西野さんと一緒に住んでる子だなあ」
しわくちゃの口元が動く。
わたしが頷くと、大家さんはずれ落ちそうな眼鏡をくいっと直して、腰を伸ばした。
1ヶ月は早い。
3通めの封書を手にして、わたしは固まりつつ首を傾げた。
なんだろう、これ。
封書を、何度も何度も裏返したり表にしたりした。
太陽にかざしてみたりもした。
でも、宛名も無ければ何も一文字だって書かれていない。
薄いピンク色の封書だ。
郵便の印鑑も押されていない。
誰かが直接このポストに入れたのだろうか。
そうだとすれば、誰なのだろう。
そう思って封書を開けようとして、でも、やめた。
もしかしたら、部屋の番号を間違えていたとしたら、と思ったからだ。
わたしか、健ちゃん宛ではなく、このアパートに住む他の住人宛だったら。
どうしよう。
迷い、困っていると、不意に肩を叩かれた。
振り向くと、アパートの大家さんが竹箒を片手に立っていた。
大家さんは80歳を超えるおじいさんで、少し腰が曲がっていて、白髪頭で眼鏡をかけている。
「あんた、西野さんと一緒に住んでる子だなあ」
しわくちゃの口元が動く。
わたしが頷くと、大家さんはずれ落ちそうな眼鏡をくいっと直して、腰を伸ばした。