恋時雨~恋、ときどき、涙~
静奈、幸、中島くん。


「来た来た! 真央ー!」


「遅っそいわ! 日が暮れてまうやんか」


「こっち、こっち」


3人とも大きく両手を振って、わたしに向かって大きな口で叫んでいた。


〈ちょっと!〉


周りの視線が恥ずかしくて、わたしは慌てて3人の元へ駆け寄った。


〈恥ずかしい! みんなが見てる〉


わたしが両手で怒ると、3人はあっけらかんと笑った。


幸がわたしの肩をど突く。


「何やねん! 新学期そうそう、怒んなや」


朝一番、幸の突っ込みだ。


こういう瞬間に、幸はやっぱり関西人だと思う。


「真央はおこりんぼやなあ」


と笑った幸は、髪の毛を黒く染めて、少し大人びた。


「真央、遅い! 遅刻しちゃうじゃない」


とシャープな頬を膨らませた静奈は、やっぱり美人でスタイルが良くて。


「おれは恥ずかしいからやめようって言ったんだよ。でも、幸が」


とはにかんだ中島くんは相変わらず爽やかで、相変わらず照れ屋で。


「うちのせいにすな! 今度はハンバーガーだけじゃ済まんで。ポテトも食うたるで!」


と幸から突っ込まれた中島くんは、肩をすくめた。


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