恋時雨~恋、ときどき、涙~
さくら月夜
桜の夢を見ていた。
ピンク色の花びらが、まるで時雨のように降る。
あたりは一面、純白で。
でも、桜の花びらが雨のように降る空の下で、わたしは笑っていた。
翌朝、目が覚めると、手を繋いで眠っていたはずの幸は、隣に居なかった。
急に不安になって飛び起きると、部屋はこうばしい香りに包まれていた。
窓から射し込む朝日がやけに眩しくて、わたしは目をこすった。
昨晩の春雨はすっかり上がり、胸を焦がすほどの青空が窓の外に広がっていた。
辺りをぐるりと見渡して、わたしは呆然とした。
まだ夢から醒めていないのかもしれない、そう思った。
頬を軽くつねってみる。
痛い。
夢じゃない。
カーペットを埋め尽くしていたはずの、200枚のコピー用紙は一枚もなくなっていた。
果物ナイフも、出刃包丁も、そこには無かった。
いつもの小綺麗に整頓された、幸の部屋だった。
昨晩の出来事が夢だったのか、今が夢なのか、分からなくなる。
いい匂い。
向こうから漂ってくるおいしそうな香りに誘われて行くと、赤いエプロン姿の幸がキッチンに立っていた。
ピンク色の花びらが、まるで時雨のように降る。
あたりは一面、純白で。
でも、桜の花びらが雨のように降る空の下で、わたしは笑っていた。
翌朝、目が覚めると、手を繋いで眠っていたはずの幸は、隣に居なかった。
急に不安になって飛び起きると、部屋はこうばしい香りに包まれていた。
窓から射し込む朝日がやけに眩しくて、わたしは目をこすった。
昨晩の春雨はすっかり上がり、胸を焦がすほどの青空が窓の外に広がっていた。
辺りをぐるりと見渡して、わたしは呆然とした。
まだ夢から醒めていないのかもしれない、そう思った。
頬を軽くつねってみる。
痛い。
夢じゃない。
カーペットを埋め尽くしていたはずの、200枚のコピー用紙は一枚もなくなっていた。
果物ナイフも、出刃包丁も、そこには無かった。
いつもの小綺麗に整頓された、幸の部屋だった。
昨晩の出来事が夢だったのか、今が夢なのか、分からなくなる。
いい匂い。
向こうから漂ってくるおいしそうな香りに誘われて行くと、赤いエプロン姿の幸がキッチンに立っていた。