恋時雨~恋、ときどき、涙~
「ここがリビング」


順也。


静奈ちゃん。


特別に、真央の友達も呼んでいいぞ。


それから、亘と栞莉も。


休日になると、呼んでもいないのに、いつの間にかみんなが集まってて。


このリビングが笑顔でいっぱいになるんけ。


「それで、毎日、ここで真央の作るご飯を食いまくる。うまい、うまいって」


健ちゃんが駆け出す。


笑顔で両手を広げる健ちゃんを見ていたら、目の奥が熱くなった。


「ここが風呂で、こっちがトイレ」


胸がいっぱいだ。


アパートの間取りをジェスチャーしながらぐるぐる走り回る健ちゃんは、とても無邪気な目をしていた。


「ここは、今は真央が寝てるけど」


と健ちゃんが笑う。


「いつか、別の人が使うための部屋」


〈別の人?〉


わたしが首を傾げると、健ちゃんは照れくさそうに鼻の頭をこすった。


「おれたちの、子供。ここは、子供部屋」


それで、こっちが、と隣の部屋のドアを開けるジェスチャーをして、健ちゃんがニッと笑った。


「今は、おれが寝てるけど」


ドアが、開く。




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