恋時雨~恋、ときどき、涙~
ダイヤモンドダスト
眩しい。
だけど、なんて悲しい色をした西日なのだろう。
礼拝堂を出て、空を見上げ、わたしは額に滲む汗をぬぐった。
暑い。
もう、本格的な夏が、すぐそこまで来ているような気がする。
6月の湿気をたっぷりと含んだ海風が、礼拝堂前を穏やかに通り過ぎて行った。
淡く朱色に染まり始めた陽光が、真上から燦燦と降り注ぐ。
悲しいくらいに、いい天気だ。
チャペルの正面には、美岬海岸の砂浜が両手を広げたように広がっている。
西日を吸収して、燦然と煌めく水面。
プリズムして輝く砂浜に、寄せては返る波が時折まばゆいしぶきを上げているのが見える。
礼拝堂の横には艶やかな紫色のアイリスが咲き誇っていて、潮風に揺れている。
まるで、仲良しの女の子たちが楽しそうにじゃれ合うかのように。
きれい。
目に映る景色は、確かに綺麗に見えるのに。
真っ白なチャペルも、大きな鐘も、風に揺れるアイリスも、正面に広がる砂浜と水面も。
空も。
だけど、どうしてこんなに悲しい色なのだろう。
斜め上空から、陽射しが強く照り付ける。
ここに吹く風は、こわいくらい穏やかで、やわらかい。
頭がぼんやりして、何も考えられなくなってくる。
いけない。
じきにパーティーが始まる。
ふるふると頭を振って、ブーケを抱え、歩き出す。
ずんずん、歩いているはずなのに、全く進めていない気がするのはなぜだろう。
だけど、なんて悲しい色をした西日なのだろう。
礼拝堂を出て、空を見上げ、わたしは額に滲む汗をぬぐった。
暑い。
もう、本格的な夏が、すぐそこまで来ているような気がする。
6月の湿気をたっぷりと含んだ海風が、礼拝堂前を穏やかに通り過ぎて行った。
淡く朱色に染まり始めた陽光が、真上から燦燦と降り注ぐ。
悲しいくらいに、いい天気だ。
チャペルの正面には、美岬海岸の砂浜が両手を広げたように広がっている。
西日を吸収して、燦然と煌めく水面。
プリズムして輝く砂浜に、寄せては返る波が時折まばゆいしぶきを上げているのが見える。
礼拝堂の横には艶やかな紫色のアイリスが咲き誇っていて、潮風に揺れている。
まるで、仲良しの女の子たちが楽しそうにじゃれ合うかのように。
きれい。
目に映る景色は、確かに綺麗に見えるのに。
真っ白なチャペルも、大きな鐘も、風に揺れるアイリスも、正面に広がる砂浜と水面も。
空も。
だけど、どうしてこんなに悲しい色なのだろう。
斜め上空から、陽射しが強く照り付ける。
ここに吹く風は、こわいくらい穏やかで、やわらかい。
頭がぼんやりして、何も考えられなくなってくる。
いけない。
じきにパーティーが始まる。
ふるふると頭を振って、ブーケを抱え、歩き出す。
ずんずん、歩いているはずなのに、全く進めていない気がするのはなぜだろう。