月影の剣
「任務終了…だね」

キスイが爽やかに笑った。

自身はベンチに置いたままであったケーキの箱を取り上げた。

「なー、ツキヨ。質問の答えは?」

不機嫌そうな声のルシに、自身は慌てて状況の説明をする。

「ケーキ買いに行ったら、近くで影切り依頼が出たので参加しました。」

「ふーん。で、」

そこでルシの目が、より一層不機嫌そうに細められた。

「コイツ、は?」

「コイツ…ではなく、キスイです。」

そこで、自身は二人に互いを紹介していない事に気付いた。

「キスイ、彼はルシです。ルシは自身の…えーと…同居人?です。」

「なんで疑問符なわけ?全く、俺の溢れる愛が伝わってないな。」

茶々を入れるルシを無視して、今度はルシにキスイを紹介。

「ルシ、彼はキスイです。自身と同じ、"影切り"だそうですよ。」

「よろしく」

握手しようと手を差し伸べるキスイに、それを無視するルシ。

キスイは苦笑しながら、上げた手を引っ込めた。

「ルシ、失礼ですよ。」

注意するが、ルシは自身の言葉も聞いていないようだ。

「それより、サッサと帰ってオヤツにしようぜ。」

ルシは自身からケーキの箱を取り上げた。
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