月影の剣
「こんにちは、本日はどの様なご用件でしょうか?」

受付のお姉さんがニッコリと微笑みたずねてくる。

自身はどぎまぎしながら要件を伝える。

「あ、あのアルバイト統括部の林さんに用があって…呼び出してもらえませんか?」

月影清掃アルバイトの登録カードを見せて、身分を証明した。

「はい、少々お待ちくださいね」

お姉さんは側にあった受話器で、林さんを呼んでくれた。

呼び出された林さんは、汗を拭きふきやってきた。
小さな会議スペースへと案内される。

「で。どうかしたのかな?」

「あの、じつは…」

言いつつ、肩に乗っていたルシをひっつかみ、林さんの目の前にぶら下げる。

「これ…見えます?」

「何か居るの?ちょっと待ってね。」

林さんは背広の内ポケットから眼鏡を取り出した。

「最近化学部門が開発した眼鏡で、隠れてるヤツも多少見えるんだ…あ、猫だね」

「なんか、普通の猫じゃなくて、人間にもなれるヤツなんですけど、飼っても問題ないですかね?相談する人が居なくて…」
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