【完】恋愛間違い注意報
懐かしの葵さんの家は、相変わらず高層マンションで2年前と何も変わらず、そこに佇んでいた。
繋がったままの手に心は静まることを知らない。
エレベーターが音もなく、最上階へと導く。
夜の街も、2年前と変わらなかった。
玄関も扉も変わらない。
少しホッとした。
さっき会ったみんなは、2年で変わっていた。
でも、変わらない場所も確かにある。
「はい、どうぞ」
扉を開き、私を入るようにと小さく促す。
緊張と期待の入り混じった、まるで青春のあの日のように私は、その中へと足を踏み入れた。
「ひゃっ!」
扉の閉まる音と同時に、すっぽりと包まれた。
寂しいと思って会いに来た、あの日を思い出す。
ギュッと、強く優しく包み込まれる感覚に涙が一筋伝った。