【完】恋愛間違い注意報
のろのろと前へ行けば、葵は私の後ろに入ってきた。
もちろん、2人でギリギリとかじゃないし、寧ろ広いのに、葵はぎゅっと近付いた。
私の前で、持て余してる葵の手を、私は掴んだ。
大きくて細くて、力強い手。
「甘えたさんだね」
嬉しそうに手を、絡めた。
何も言わず、葵にゆっくり寄りかかった。
「そうだ、明日智沙の家に行こう」
「仕事は?大丈夫なの?」
「有能な秘書が頑張ってるよ」
「絵美、可哀想」
本気で言った訳じゃないけど、非難してみる。
葵は面白そうにクスクスと笑った。
「智沙は寂しがりだから、一緒に居ないと不安でしょ?」