【完】恋愛間違い注意報
コツコツと聞こえる足音は、だんだん早くなって此方へ向かってきた。
そっと見上げると、葵さんがいた。
止まることを知らない涙は、相変わらず溢れたままで。
「どうして此処に」
嫌だったのかな…でも、会いたかった。
迷惑でごめんなさい。
「あ、会いたくなって来てしまいました」
あはは、と乾いた笑いは、葵さんの胸へ吸収された。
葵さんに抱きしめられたのだった。
温かい、車だったんだろうな。
夢なら覚めないでよ、私葵さんの傍に居たいよ。
「さ、あがって」
数分の包容の後、部屋へと通された。