【完】恋愛間違い注意報
ピーンポーン
「はい」
葵さんの声が玄関から聞こえる。
すると、何も言わずに誰かが此方へ来る。
葵さんの慌てた声が嫌な予感を掻き立てた。
「何、この女」
見知らぬ女性が私を指差して言った。
あなたこそ、なんて言い返せる雰囲気でもなく。
ともかく、退散しようとした。
「私、帰りますね」
「またね」
いつも通りの笑顔を見て、少し安心したのも束の間、その女性は再び口を開いた。
「私、葵の婚約者なの。悪いけど、あんた邪魔」
そのまま、帰宅。
お店の仕事へ取りかかる。
信じようって心に誓って。