【完】恋愛間違い注意報
カランコロン
店の扉を開けると、いらっしゃいませと声をかけ、笑顔を向けるのは、智沙じゃなかった。
「あれ、智沙は?」
「此方を、お二人にとだけ言って出掛けました」
「どこに?」
手渡されたのは、真っ白な封筒が2つ。
出掛けたなら出先へ向かえばいいかって思った。
「フランスです」
まるで、すぐ近所に行くような軽い感じで言うから思わず、流しそうになった。
「そうなんだー……ってええ?!」
「冗談はよせよ」
「本当ですよ。詳しくは、其方を読んで欲しいとのことです」
「店は、どうすんだよ」
「社長がいらしてたり、私も一応副店長なので代理をしたりしています。いつ帰るかはわかりませんけどね」