斎宮物語

夜なんて、来なければいいと思った。

このまま夜が来なければ、きっとこんなに胸が痛むこともないのだろうと。

私は上様の、妻。

側室ではあるけれど。

悠吾朗様には、もうお嫁さんがいる。

一家の大黒柱で、そのお嫁さんの、夫。

頭ではわかっている…。

……わかっているはずなのに。

なんでこんなに苦しいの…?



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