斎宮物語
「京から、ええものが届きましたさかい、お裾分けをと思いまして…。
お口に合いますやろか?」
お古牟の方が、木箱を差し出した。
「これは…、ありがとうございます。」
「それにしても…、斎宮さんも大変にございましたやろ。
いきなり大奥に上がり…、それも、ご側室におなり遊ばすなんて。」
「いえ…」
何となくわかったわ。
お古牟の方は、そういうことが言いたかったのね…。
そのために、何かと理由を付けて、私を招き入れた…。