斎宮物語
「私に出来ることがございましたら、何なとどうぞ。
斎宮さんのように町家の生まれの方には、大奥の作法やらは何かと難しい物ですよって…。」
「はい。」
私は、そう聞き流したような返事をして、
「それでは、これにて失礼いたします。
お菓子、ありがとうございました。」
そう言って、席を立った。
そのまま後ろを向き、歩き出す。
「あ、忘れておりました…。」
小さな声が聞こえた。
「お待ちくだされ。」
声が、近づいてくる。