斎宮物語

着物の音が、近くに来たと思ったら…、

「きゃっ!」

着物の裾がふまれ、私は転んだ。

「あ…。」

後ろを向いて、見上げると、お古牟の方が、勝ち誇ったような顔をして立っていた。

足下に目をやると、私の打ち掛けの、裾。

ぐしゃっとした感触が、手を襲った。

べたべたとして、気持ち悪い。

見ると、箱の中身は水飴のような物で、箱の蓋が取れ、私の手にべったりとついていた。


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