斎宮物語

「これは、ほんの挨拶にございます…。
上様のご寵愛が、たかが町娘などにあるとは、由々しきこと…。
これに懲りたら、おとなしくしておるんやな。」

鋭い目で見下し、冷たい声で言う。

「あぁ、あぁ。
着物も手ぇも、そんなに汚れて…。」

あなたがそうさせたんじゃない!

言いたくても、言えなかった。

この人の目は、本気だ。

『やれる物ならば、やってみるがよい。』と、無言の脅迫をしているようだった。

関わらない方が、吉。


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