斎宮物語
6.七つ口
今日も、上様のお渡りがあると伝えられた。
今は、着替えをすませ、髪をすいてもらっている。
「出来ました…。」
「ご苦労様。」
あっ…。
普通、お礼など言わないところ、私はいつも言ってしまう。
「いつき様!」
「…気をつけます。」
これもある意味では作法のような物だから、いつもしかられる。
「さぁ、参りましょうか。」
私は、逃げるように歩き出した。