斎宮物語
「滝川、おるか。」
「はい。」
「今宵は、奥で食事する。
そのまま宮と御小座敷にいけるよう、準備しておけ。」
「かしこまりました。
斎宮様にはお着替えなどのため、お部屋にてお食事願います。」
「はい。」
滝川様は、長局に向かった。
きっと、上様のお食事を念入りにお毒味するよう伝えに行くため。
「いつき、今宵、そなたのもとに渡ろう。」
「はい。」
私は、心がぱあっと明るくなった。
上様の夕餉が届く前に、私は部屋に下がった。