斎宮物語

シャラン、シャラン、シャラン。

聞き慣れた、澄み渡った鈴の音。

ゆっくりと近づいてくる、足音。

見慣れた屏風。

「いつき…。」

名を呼ばれ、跳ね上がる心臓の音。

上様は、私に近づいてきて…。

私を抱きしめる。

心地好い体温。

「いつき、愛しておる…。」

始めのころは、言ってくださらなかった、甘い囁き。

「私もにございます。」


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