斎宮物語
「皆様は…。」
話かけようとすると、鋭い目で睨まれた。
しかし、ここで気負けするわけには、いかない。
「皆様は、上様を心からお慕いしておられるのですか。」
気丈に言う。
「何を当たり前のことを。」
「…そうですか。」
「さぁさぁ、小娘に話をするなど、時間の無駄のようですな。
参りましょ。」
お古牟の方様が立ち上がる。
ドンッ!
「きゃっ!」
襖の近くに座る私をわざと突き飛ばすように、部屋から出ていった。
お須免の方様、お喜世の方様も、お古牟の方様に続いた。