斎宮物語
………―――
目を覚ますと…。
「いつき!!」
何故か、目の前に上様がいた。
「上…様?」
「いつき、よかった!」
「上様……。
どうなさったのでございますか?」
上様の表情は、心配しているというより、嬉しそうだ。
「子じゃ。
そなたとわしの子ができたのじゃ!」
「お子?」
「そうじゃ。」
私と…、
上様の…、
お子?
「誠にござりますか?」
「何人もの医者に診させたが、皆、懐妊じゃと。」
「…上様!」
私は勢いよく上様に抱き着いた。
「中奥から、走ってきたわ。」
「まぁ。」
私たちは、顔を見合わせて笑った。
…幸せだ。
…私は本当に、幸せ者だわ…。