斎宮物語

【中奥】

「上様!
一大事にございます!!」

お坊主の芹山(せりやま)は、全身に汗をかき、走って中奥にやって来た。

中奥に来れるのは、お坊主の特権だ。

芹山は、普段は落ち着いていて、汗などかかない。

どうしたのか。

「申し上げます…!」

聞きたくなかった。

ひどく、不吉な気がして。

どうしても聞いてはいけない気がした。


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