斎宮物語
「いつき、何があった…。
眼をあけよ…。
いつき…。
いつき…!
いつきぃぃいいいい!!!!」
家宣公はただただ、血まみれの斎宮様を抱き抱えて泣き叫ぶことしか出来ませんでした。
斎宮様の傍に、血にまみれた大きな漬物石が転がっておりました。
家宣公はすぐにそれを見つけられ、
「これは…。
これか?
これで、いつきは…!」
そしてついに、その歎きは怒りとなってしまいました。
「このおなごは…?」
家宣公は近くにいたお女中に、自害した女についてお尋ねになられました。
「…っ。」
「申せぬか…!?」
「お…、お須免の方さまの、部屋の者にございます…。」