斎宮物語
その事件は、あまりに酷いものでございました。
お須免の方様は、お子を失った哀しみから嫉妬に狂われ…。
その怒りと哀しみは、上様のお子を同じ時期き身ごもられた、斎宮様へとむけられました。
そして、その様子を1番傍にてご覧になられていたはお女中、千谷(せんだに)にございました。
千谷は、お須免様から命を受けるくらいなら、いっそのことと、斎宮様が御小座敷からお帰りになるその時にと、待ち伏せておりました。
そして、斎宮様付きのお女中が斎宮様をかばうより先に、斎宮様を亡き者として、自らも果てたのでございます。