斎宮物語
上様、御台様、御側室の方々がいなくなってから、私は長局に戻った。
私は、今日お昼からのお仕事だから、それまでは暇なの。
「宮様。」
呉服之間のお琳(りん)。
「宮様などと…
おやめください。
確かに私は、上様より斎宮と名をいただきましたが、そのような高貴な育ちではございませぬ。
宮様などと呼ばれるのは、恐れ多いことにございます。
どうか、いつきと。」
「左様にございますか…。
では、いつき様。
上様の御側室ならば、美しい打掛が必要となりましょう。
私がお仕立て致します。」
「あ、ありがとうございます。」