斎宮物語
「斎宮…。」
不意に、上様が名を呼んだ。
「はい…。」
「すまなかった。」
「……え?」
「わしの妻達は、皆力に飢えておるようじゃ。
大奥での力に…。
わしは、御台たちのそのような無用の争いに呆れかけておった。
そこに、そなたが現れたのじゃ。
そなたの持つ、純真な空気に、わしは惹かれた。
だから、側室にしたのじゃ。
すまなかった。
そなたの気持ちも、もっと考えてやるべきだったと、今更ながら思うておる。」