斎宮物語
4.長局
【長局:お喜世の方の間】
「上様が、新たにご側室を…。」
お喜世は焦っていた。
お世継ぎを成し、さらにお喜世はその美貌より、将軍、家宣の寵愛を人一倍受けていた。
しかし、上様おん自ら見初めた側室となると、寵愛は斎宮のものとなることなど、目に見えていた。
たとえ、鍋松がいても、斎宮が子を成したら…。
「お喜世様、気を落とされてはなりませぬ。
お喜世様は稀にみるご器量をお持ちにございます。
もっと自信をお持ちくだされ。
上様のご寵愛も、きっとまだまだ受けられまする。」
「絵島……。」